俳句のページ 北陸遊吟   
一九八二年六月(昭和五七年) 金沢一人旅
金沢兼六園
日本武尊の銅像、西南の役の忠魂碑、自然石のなめくじ、蛇、蛙の台で崩れない。
明治記念之標
夏陽ざし像守る石の三竦み
なつひざし ぞうもる いしの さんすくみ
.
本多蔵品館
加賀藩前田家の筆頭家老の蔵品、五万石の茶壷と称する「村雨の壷」は、
南蛮渡来と伝えられ家宝随一とされる。
薫風や渡来の壷の底光り
くんぷうや とらいのつぼの そこびかり
.
成巽閣せいそんかく
十三代藩主(斎泰)が母堂真龍院の隠居所として兼六園の一隅に造営した。
絵簾や飾り戸なして武者隠
えすだれや かざりどなして むしゃがくし
.
尾山神社
尾山神社です
藩祖、前田利家、二代利長、三代利常を祭る。エキゾチックな洋風の門、金沢城
に面した東神門は龍が水をよんだとして焼けずに残る。
ギヤマンの神門くぐる夏帽子
ギヤマンの しんもんくぐる なつぼうし
.
卯辰山
金沢市街の東にあり自然公園
記念塔や文学碑が多く、日本海、白山連峰が望める。
陶板の碑に木漏れ陽や散松葉
とうばんの ひにこもれびや ちりまつば
.
妙立寺(別名、忍者寺)
日蓮宗の古刹で加賀藩の祈願所、隠し階段、隠し部屋、ドンデン返し、金沢城
に通じる伝説の井戸などがある。
間道に続きて涼し井戸の風
かんどうに つづきてすずし いどのかぜ
.
天徳院
関が原の戦いの前年、三代利常(10歳)に嫁いだ、徳川秀忠の娘珠姫(3歳)
24歳で亡くなり、利常が菩提をとむらうため建立し、法名のまま天徳院。
下馬地蔵そびえ山門茂りたる
げばじぞう そびえさんもん しげりたる
.
江戸村
江戸時代の封建制、士農工商の職階による文化、生活の歴史的資料の公開。
風暑し農奴の眠る吊天井
かぜあつし のうどのねむる つりてんじょう
.
武家屋敷
赤石は戸室石、高禄の藩士でないと使えない。
長土塀門に赤石青葉吹く
ながどべい もんに あかいし あおばふく
.
丸岡城
柴田勝豊の築いた、現在犬山城とともに日本最古の様式の城、別名霞ヶ城。
伝説に人柱にたった片目の女の涙雨が降り、城が敵に攻められると霞が
かかって城が見えなくなるといわれている。
石瓦葺きの天守よ青時雨
いしがわらぶきの てんしゅよ あおしぐれ
.
                                   ( 娘の宿舎に遊びて)