俳句のページ 家族の旅 |
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一九八五年五月二六日から六月二日(昭和六十年)
つくば科学博をメインに、 那須高原、塩原温泉、伊豆長岡温泉など
家族旅行に出る。
二七日晴、筑波から宇都宮経由、東北自動車道を夫、息子、私を乗せて娘は
ひた走る。那須高原、「殺生石」の河原に石を積み、那須山麓からロープ
ウエーに乗り、火山帯の主峰「茶臼岳」へ登る。
石楠花の尾根を渡れば噴煙も青空に白い雲となる。 |
山つつじ岳の噴煙雲となる |
やまつつじ たけのふんえん くもとなる |
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松林の中のドライブイン、木漏れ陽に昼餉とる。 |
木の株ににぎりめし置き葭簀茶屋 |
きのかぶに にぎりめしおき よしずぢゃや |
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二八日晴、塩原温泉名所めぐり、文学散歩、滝見物、箒川の自然研究路
を歩く。トテ馬車は遊覧馬車のこと。 |
トテ馬車の鈴高らかに青葉吹く |
とてばしゃの すずたからかに あおばふく |
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滝道や夫を先立て丸太橋 |
たきみちや つまをさきだて まるたばし |
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「源三窟」源三位頼政の孫有綱、鎌倉の戦に敗れ、この洞窟に再起を待つ。
洞内の滝水にて米を研ぐ。研ぎ汁が流れ出し発見されて悲しい最後をとげた
と伝えられる。 |
夏帽子たたみて窟にもぐりたる |
なつぼうし たたみてくつに もぐりたる |
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「木の葉化石園」塩原化石湖の丘から出る化石は、ほとんど現在繁茂してい
るもので、百数十種又数十万年前のものとは思えない程彩美しいものである。 |
木の葉石手作りのごと風薫る |
このはいし てづくりのごと かぜかおる |
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「妙雲寺」 文学の森にあり、寿永の戦で敗れた平重盛の妹、妙雲尼の庵、
牡丹祭りで境内は賑わう。 |
牡丹咲く寺に温泉のもの売れり |
ぼたんさくてらに いでゆのものうれり |
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「つくば博」三十日晴、未来体験へ各パビリオンを歩いて、並んで、待って、
三日目の昼、八十五米の大観覧車からの展望、宇宙食を食べながら。 |
パビリオン彩競い立つ五月野に |
ぱびりおん いろきそいたつ さつきのに |
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六月一日晴、伊豆長岡温泉、頼朝鷹狩りの地、「かつらぎ山」へ千八百米の
ロープウエーに乗り山頂へ。正面に富士山、左に南アルプス、右に箱根連山、
伊豆の山々、眼下に田方平野、狩野川と駿河湾が箱庭のように見える。 |
雲白し青嶺は富士を覗かせて |
くもしろし あおみねは ふじをのぞかせて |
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長岡郷土資料館、頼朝が「蛭が小島」に流され二十年の青春時代を過ごした。 |
頼朝の生きしあたりやあやめ咲く |
よりともの いきしあたりや あやめさく |
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三津シーパラダイスの日本生まれのラッコ二世、海獣ショー、ウーパールーパー
を見て三島駅より新幹線で家路につく。 |
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