俳句のページ北辺遊吟
一九七九年五月(昭和五四年) はじめて北海道へ旅をしました。
七日 大阪空港から千歳へ機内は心弾ませる人達で満席です。
   アルプスの雪渓を見る航の間に
アルプスの せっけいをみる こうのまに
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然別湖しかりべつこ
   首かしぐ小鹿の見えて山湖畔
くびかしぐ こじかのみえて やまこはん
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  阿寒湖あかんこ
    解氷湖浮かぶ島晴れマリモ観る
かいひょうこ うかぶしまはれ マリモみる
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  硫黄山いおうざん 昔日に熊を追い込んだというくぼみがある。
   夏日さす硫黄の山の熊おとし
なつびさす いおうの やまの くまおとし
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  美幌峠びほろとうげ
    畝長く黒き耕地にビートの芽
うねながく くろきこうちに ビートのめ
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  女満別めまんべつ へび枕は土地では水芭蕉のことをいう。
   蛇枕雑木林にぽかと咲く
へびまくら ざつぼくりんに ぽかとさく

ロールオーバー写真になっています。
「船山馨」著作の「お登勢」のことを思い出しながら観光バスに揺られていた。まだ芽ぶかない唐松の続く広野に、白い帆を上げる水芭蕉の可憐さに心を奪われた。何度目かに北海道を訪れた時、水芭蕉の織物を見つけ
北辺の香りを、風を求めました。

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  網走湖あばしりこ
   氷塊に海猫の乗りたり胡麻のごと
ひょうかいに ごめの のりたり ごまのごと
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  能取湖畔のとろこはん
   ミンク小屋並ぶ広地や蕗のとう
ミンクごや ならぶ こうちや ふきのとう
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   牧広しサイロの屋根に鴉の子
まきひろし サイロのやねに からすのこ
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   網走や貝は土産に帆立食ぶ
あばしりや かいは みやげに ほたてたぶ